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中島左官HOME > 平成22年度 木のまち・木のいえ整備促進事業

木のまち・木のいえ整備促進事業

「木造住宅・木造建築物の整備促進に関する技術基盤強化を行う事業」において、
中島左官の開発事業が採択されました。

採択事業

「耐震補強及び新築物件に用いる漆喰を用いた木造耐力壁の開発事業」
本ホームページにおいて補助事業における実験データを広く公開いたします。

試験名称 漆喰を塗ったスギ板パネルの面内せん断試験
試験機関 (財)建材試験センター中央試験所
〒340-0003
埼玉県草加市稲荷5丁目21番20号
TEL 048-935-1991(代) FAX 048-931-8323
試験期間 平成23年3月17日〜6月16日
平成23年8月22日
試験方法
評価方法
建材試験センターが定めた「木造耐力壁及びその倍率の試験・評価業務方法書」に順ずる。
加力条件:タイロッド式

事業の概要

社寺建築等の耐震改修においては、その建物の特徴上開口部が多く意匠性を損なわずに耐力壁を設置できる部分は非常に限られている。
よって、一つの耐力壁に大きな耐力性能が要求される事となり、さらに意匠上漆喰仕上げ等にする必要から、
漆喰塗り用の下地の厚さ等を考えると、 構造耐力を負担できる“構造”部は非常に限られてきてしまう。
新築の社寺等の物件においても同様な事が言える。本事業の開発では、漆喰壁を含んだ複合的な耐力壁の開発を行う。
社寺建築等の耐震補強及び、新築の耐力壁における必要性能(構造及び意匠)を満足できる新しい耐力壁の開発を進める。
本事業においては、自社ホームページでの実験データの公開を行う。
公開した実験のデータは、新しい工法の開発等の基礎的データとして申請者以外の者が利用し、
新工法の開発等へ利用していく事を可能とする。


実験の様子

実験結果

(試験体名をクリックすると結果詳細PDFが表示されます。)

MO-A27
MO-A30
MO-A33

MO-B27
MO-B30
MO-B33

実験報告書


結果の内容

(1)実験条件
実験は、水平加力試験とし、社寺での利用を考えて柱を150角としたMO-Aタイプと、
一般住宅での利用を考え柱を105角としたMO-Bタイプの2種類を設定し、
漆喰壁の高さの違いによる耐力の差を確認するために横架材内法高さを3種類設定した。
なお、実験は同一タイプで同一高さの試験体を各3体行った。
 ・MO-A タイプ 柱150角 横架材内法高さ2700(MO-A27)、3000(MO-A30)、3300(MO-A33)
 ・MO-B タイプ 柱105角 横架材内法高さ2700(MO-B27)、3000(MO-B30)、3300(MO-B33)  

(2)実験結果
・MO-Aタイプ:壁倍率で6〜7倍程度の性能が確認された。
建築基準法上の壁倍率の上限が5倍である事から木造の耐力壁としては、非常に高倍率の性能であるといえる。
横架材内法高さが低い方が耐力が高い傾向があり、MO-A27とMO-A33を比較すると高さが20%程度の違いに対して、
耐力は17%程度の違いとなった。すべて特定変形角1/150rad.の耐力で基準耐力が決定されており、
いずれの試験体も塑性率が6.0程度、Dsで0.3程度であり、十分な塑性変形能力がある事が確認された。
Ds=0.3程度であるので、一般的な構造用合板を用いた耐力壁と同等であり、
設計において構造用合板との併用も問題ないと思われる結果が出た。
下記に評価された壁倍率を示す。 ・ MO-Bタイプ:壁倍率で4〜6倍程度の性能が確認された。
MO-B27においては、MO-Aタイプと同様の耐力性状が確認され、Dsも0.3程度であった。
MO-B30とMO-B33のおいては、3月11日の震災の影響を受け一部損傷し、試験前に漆喰の剥離が発生したため、
それぞれ2体の試験体を再度塗り直し、試験を行った。
塗り直しによる施工時期や施工精度の違いによるバラツキが見られ、結果に大きな違いが生じた。
今後、同じ性能を確保するための施工方法等の課題が残った。


今後の展開

MO-Aタイプでは概ねバラツキなど無く、良好な結果が得られた事から、
社寺の耐力壁、耐震補強用の工法として、実験値を利用した設計が可能と思われる。

しかし、本工法は施工手順や管理基準等に気をつける点が多くある事から、
間違いの無い施工方法を身につけてもらうためにも、施工講習会等を行い広く利用可能になるように普及を図っていく。

社寺建築での使用を考えているMO-Aタイプでは、耐震補強において使用する場合、
終局耐力は短期の基準耐力の1.6倍以上ありかつ、Dsが0.3程度である事から理想的な性能であると思われる。
耐震補強は終局耐力と塑性変形能力が重要視されるため、本事業における実験結果をそのまま利用した普及も考えられる。
今後、社寺の耐震改修の事業があった際には、実際の利用を積極的に考え実績を積んでいく事も考えられる。

今後の問題点は、MO-Bタイプで見られた施工誤差による耐力への影響が考えられる。
大臣認定の取得には、性能の再現性が最も重要であり、バラツキが大きい事は問題として非常に大きい。
漆喰の調合に関しては、プレミックスタイプとする事で解決可能であると思われる。
工場での一貫生産・調合管理を行う事で、バラツキはかなり押さえる事ができる。
また、季節によって調合を変える必要性を検証する要素実験等を行う必要もあると思われる。
これらにより材料によるバラツキは解決できると思われる。施工者の違いによるバラツキは、
単位面積あたりに使用する漆喰の量の制限等で塗り厚以外にも密度の管理を行い、
さらに講習修了者のみ施工できるシステムを考えているので、講習会では施工実習等の必要性も考えていく。
講習会は、各地の工務店、左官業者を対象に行い、工法の理解、施工上の注意点、管理基準等を説明していく。
施工実習なども行い、確実な施工と管理方法の習得を目指す。

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